今日の交換 #1 : 石焼イモトラック
今日の交換。
石焼イモのトラックが、家の近くをとおったので
ああ、まだ石焼いも屋さんは愛されているんだなあと
心があたたかくなった。
このご時世にたった一つのものを売るためだけに開発された車って
とんでもなくかっこいいなあと。
世の石焼いもトラックのデザインを見るとかっこいいことかっこいいこと。
熱した石でイモを保温するタイプのものもあれば
実際に火がついた専用釜がリアカーにくっついたものまで
実にストイックな作りである。
工場の一部を持ち歩く、という意味では
たとえば3Dプリンタやレーザーカッターなんかを
屋台でもちあるいたり
パン屋をオーブンごと持ち歩いて提供するのもおもしろそう。
「工場の一機能が出歩く屋台」
あるいは紙芝居屋的な発想で
エンタメ空間を移動させるとか。
「移動するエンターテイメント」
とか色々考えて何か違和感に気付く。
機能面から応用編を考えてみたとしても
石焼イモトラックの魅力には到底敵わないことに気づいてくる。
そもそも、石焼いもなんて普段からそう食べるわけでもないのに
石焼いものあの歌が聞こえてくると
なぜだかふと、買いたくなってしまうのはなんでだろう?
たぶん、単純に石焼いもをかうんじゃなくて
寒い冬の日に石焼いも屋とめぐりあうという
レアスライムにでも会ったような偶発性と非現実性を
ひとは、かいたくなるんだろうな。
それも石焼いもトラックでかった芋には
「去年もお会いしましたね。今年ももうおわるんですね。」という
顔つきがある。
石焼イモトラックは、「冬」をうっているんだ。
だからどんなにコンビニがふえても
コンビニではなくて、石焼いもトラックで
わたしたちは、今日の幻の芋をかってしまう。
そういえばあれが足りてなかったわね、と
「冬」のことをおもいだしながら。
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